商社は存在意義ナシ!?専門商社で3.8年働いた僕が解説します。
こんにちは!
NOBLOGのノブです。
商社についてググってたらこんなキーワードがでてきました。
「商社 オワコン」
…。
こんなこと言われたら黙ってられない…!
さっそく商社自体の存在意義について考えてみます。
はじめに言っておきますが、商社の存在意義はめちゃくちゃあります。
今後どれだけ人工知能が発達してこようが、なくならない職業TOP3にランキングしてるんじゃないかと思ってます。
この記事ではなぜ商社の存在意義がなくならないのか、中小企業の専門商社で3.8年働いた僕が解説します。
この記事の目次
商社の存在意義がないと言われるワケ
- テクノロジーの発達によって消費者は生産者から直接買える時代になった。
- 右から左に流すだけの商社は不要。
というのが、商社不要論者の主張らしいです。
話しはそう簡単じゃないですぜ、とツッコミたくなる主張ですね。
とはいえ、僕も学生時代は同じように考えてました。
しかし実際自分が商社に入り、3.8年働いたあと言えることは、
商社は絶対なくならない。
僕たちの身近な存在で例えるなら、商社はスーパーマーケットであり、Amazonです。
これらを使わないと言い切れる人だけが「商社はオワコン」と言って良いのです。
では次からはなぜ商社がこの先も絶対なくならないと言い切れるのか説明していきますね。
商社の存在意義は「5つのリスク」を吸収すること
商社の存在意義はこの5つのリスクを吸収しているからです。
順番に見ていきましょう。
リスク①:在庫リスク
まずはじめに商社はメーカーに変わって在庫のリスクを吸収しています。
商社はまとめて大量の在庫を海外から購入し、自社の倉庫、もしくは港のコンテナヤードに保管しています。
当然在庫は顧客に販売するまではお金になりません。
商社側のリスクで在庫をストックしています。
「商社側のリスク」とはこんなものがあります。
- 商品の経年劣化
- 自然災害
- 盗難
- 在庫の保管費用
また、他にもエンドユーザーの業績不振で仕入れた在庫が捌けないリスクもあります。
扱う商品が多ければ多いほどそのリスクは高くなります。
実際僕も商社時代に経験がありましたが、倉庫が洪水で沈んで何百万円もの商品が使い物にならなくなったことがあります。(顧客に頼み込んで超割引で何とか使ってもらいましたが…)
また、エンドユーザーの業績不振により在庫が長期保管となり、品質が劣化し使い物にならなくなったりということがありました。(自社で入っている損害保険で何割かを取り返しました。)
メーカーは自社でこういったリスクを一切負うことなく、欲しい在庫を欲しい分だけ、欲しい時に届けてもらっているのです。
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リスク②:為替リスク
為替のリスクをできるだけ吸収する努力も商社の役割です。
商社は為替予約というシステムをよく使います。
これは予約時点の為替レートで銀行から外貨を買っておくことで、将来的に円安が進んだとしても、予約時点の為替レートで外貨を買うことができるというシステムです。
「今日130円だけど、明日には131円になるかもしれないから、もう130円でドルに換えておこう!」ってイメージです。
たったの1円と思われるかもしれませんが、数百、数千万円の仕入れを行う商社ではこの1円がものすごく大きな金額になります。
こうして少しでも安く海外から購入できるように、為替の動きを見ながら為替変動によるリスクを吸収するのも商社の役割です。
リスク③:海上輸送のリスク
例えばタイの港から日本の港に商品を輸入する場合、商品は大きなコンテナ船に乗ってやってきます。
大体2週間くらい掛かるのですが、この2週間の間には様々なリスクがあります。
- 船の座礁
- 火災
- 港のクローズ(港がコロナやストライキによりクローズし、荷物が下ろせない場合、船会社から荷主(つまり輸入商社)に莫大な請求が発生することがある。)
などがあります。
輸入商社で働く人であれば大なり小なり一度は経験しています。
そして船の座礁や火災で商品が海に沈んだり、使い物にならなくなった場合、そのリスクは輸入商社が負うことになります。(仕入先との契約にもよります)
当然海上保険はかけますが、輸入商社は常にこういった制御不能なリスクと隣合わせなのです。
リスク④:輸送コストのリスク
商社は一度に大量のコンテナで仕入れを行います。
その方が輸送費が安くなるからです。
例えば、山奥の農家から鳥の卵を買おうとした場合、1個で買うのが安いのか、1,000個で買うのが安いのか、どちらが安くなるかは明白ですよね。
商社も同じように、コンテナ1本で輸入する場合と、コンテナ10本で輸入する場合は、当然後者の方が輸送費は安くなります。
大規模な物量をメーカー1社で動かすのは中々難しいです。
輸入に特化した商社だからこそ、ある程度まとまった物量をお得に動かすことができるのです。
さらに船会社はたくさんコンテナを一度に輸入する商社をVIP待遇しますし、港でのハンドリングも優遇してくれます。
つまり、仕入れる量が多ければ多いほど、運賃もディスカウント交渉してもらいやすくなりますし、港でのコンテナ保管期限も優遇してくれます。
輸入は輸入のプロに任せた方がコスパよく輸入ができるってワケです。
リスク⑤:人のリスク
最後はこれですね。
僕の感覚的にはこのリスクが一番大きいです。
そして商社の一番の存在意義でもあるように思います。
輸入商社であれば、商品を海外から輸入します。
しかし国内取引のようにお金を出せば物が簡単に買えるという世界観ではありません。
海外には、その国独自の商習慣・言語・国民性があります。
日本では何のストレスもなく進んだ取引や商談は、外国人相手ではそう上手くいきません。
さらにこの担当者はこういう考え方をするから、こういう風に交渉しようか、こういう言い方で動いてもらおうか、と人によって対応や言葉を変えることが頻繁にあります。
これはその国の文化や言語、その人の性格を理解しないとできない仕事です。
メーカーの海外経験がほぼない購買担当がやろうとすると必ず文化や言語の違いに苦しみます。
日本の感覚で取引をしようとするからです。
だから海外との取引には僕たちのような海外専門部隊が活躍できるのです。
商社の存在意義はこの先もなくならない
冒頭のスーパーマーケットやAmazonで考えれば分かりやすいです。
例えば、スーパーやAmazonがなくなるとあなたはこんなリスクを抱えることになります。
- 在庫のリスク:消費期限が切れた商品を買う可能性が上がる
- 為替リスク:アメリカ産の牛肉を食べるためにUSDを買う必要がある
- (海上)輸送のリスク:商品輸送中のトラックが高速道路で事故ったら、今日の夕食の材料が買えない
- 輸送コストのリスク:キャベツ1玉を買うために何百キロも離れた田舎に買いにいかなければいけない
- 人のリスク:卵1つを買うために毎日山奥の頑固オヤジと交渉しなければいけない
「こんなめんどくさいことをやるなら、お金払ってでも誰かに任せたい!」と思っている誰かがいる限り、商社はなくなりません。
そしてそう思っている人は今のところめちゃくちゃ多い。
まとめ
そんな感じでこの記事では商社がなくならない理由を5つのリスクからみてきました。
商社が吸収している5つのリスクとは、
- 在庫リスク
- 為替リスク
- 海上輸送のリスク
- 輸送コストのリスク
- 人のリスク
です。
そして商社は絶対に今後もなくならないです。
今後もなくならない職種TOP3、いやもしくはTOP1なんじゃないか?と思うくらいなくならないと僕は思ってます。
ここまで読んで「よし!安心して商社に就職しよう!」と思ったあなたはこちらの記事も忘れず読んでください。
>>中小の専門商社で働くメリット・デメリットとは?【まったり働きたいならオススメです】
まずは商社(専門商社)のメリット・デメリットを知るところから始めましょう。